健康で長生きする秘訣(禁煙の勧め編)

 皆さんはタバコを吸っていますか? タバコの害についてはすでにご存知のことと思いますが、ここでおさらいをしておきます。
 タバコを吸うと、肺がん、喉頭がん等の癌ばかりでなく、心臓病、くも膜下出血、胃潰瘍などを起こす危険性が高まり、また最近は肺気腫の発症にもタバコが関与していることが問題となっています。肺気腫とは肺の組織が破壊される病気で、酸素が身体の中に充分取り入れられなくなり、ひどくなると呼吸困難が続いて一日中酸素吸入をしなければならない状態になります。こうなるともう元には戻りませんので、そうなる前に禁煙による予防が大切です。またタバコは吸っている本人のみでなく、同居しているご家族が肺がんになったり、お子さんが喘息を起こす危険性も高くなります。経済的にも、1日2箱タバコを吸うと1年間に約20万円かかり、これを年利1%の複利で計算すると5年間で102万円、10年間で209万円、30年で697万円という膨大な金額になるそうです。禁煙したら、このお金が貯蓄できますよ。
 でもどうしても禁煙できないという方もおられるでしょう。これはタバコに対する心理的依存に加えて、身体的依存(所謂ニコチン依存症)が原因といわれています。禁煙外来で使用する薬は、この身体的依存を軽くするもので、タバコをがまんする時のイライラや禁断症状が軽くなりますので、比較的楽に禁煙ができると思います。今この治療薬に健康保険が使えるようになっていますが、今年の5月からこれまでの貼り薬に加えて飲み薬も認可され、治療の選択肢が増えました。しかし、そのうち健康保険が効かなくなるかもしれませんので、禁煙しようと思っている方は、なるべく早くニコチン依存症外来を行っている医療機関に行かれることをお勧めします(勿論、当院でもやっています)。
5月31日は世界禁煙デーです。あなた自身のためだけでなく、あなたの愛するご家族のためにも、是非この機会に禁煙してください。