健康で長生きする秘訣(大動脈解離編)

 高血圧を放置していると起こりやすい病気の一つに、「大動脈解離」があります。これは、大動脈の内膜に亀裂が入り、そこから血液が流れ込んで、大動脈の壁が裂けていくものです。ちょうどお菓子のバウムクーヘンが薄く剥がれるような状態に例えられます。この状態を放置すると、75%の方が亡くなるとされ、突然死となることも多いので、早急な治療が必要です。典型的な症状は、突然起こる引き裂かれるような激痛です。最も多いのは胸の痛みですが、背中の肩甲骨の間に感じられることもよくあります。この痛みは解離が広がるにつれて、大動脈の走行に沿って移動します。また、しばしば手足の脈が触れにくくなったりします。
 病気の重症度は裂ける場所によって異なり、心臓から出てすぐの所(上行大動脈)から裂けると、合併症のために死亡率が極端に高いので緊急手術が必要になります。
 このため、もし今お話したような症状が起こったら、我慢せずにすぐ救急車で心臓外科のある病院に行ってください。しかしこの病気に対する手術は難しく、何とか手術ができても1〜2割の方は救命できないとも言われていますので、この病気は起こる前に予防することが大切です。
 予防法の原則は高血圧の予防、および治療です。高血圧は症状がないことが多く、血圧を測らないとわかりませんので注意が必要です。特に女性の方は、若いときは低血圧であっても更年期を過ぎると血圧が上がってくることが多いので、毎年健康診断を受け、血圧計が置いてあるところに行ったら必ず血圧を測る習慣をつけることをお勧めします。家庭用の血圧計を買っていただいて、ご家族全員の血圧を管理できれば理想的です。この血圧が140(家庭血圧は135)を越えると高血圧の範疇に入りますので、該当する方はまず塩分を控え、運動を心がけましょう。それでも血圧が下がらないときは、お近くの医院にご相談ください。